皆さんは、仏教をお開きになったお釈迦様の誕生日を知っていますか? それが4月8日で、「花まつり」としてお祝いをするのです。 ケーキを食べる12月25日のクリスマスがどんな日かご存知ですよね? この日はキリスト教をお開きになったイエス・キリストの誕生日です。 クリスマスは知っていても、花まつりは知らない方が多いのではないでしょうか? 日本人はほとんど仏教徒ですから、ぜひ花まつりも覚えていてくれたら幸いです。 花まつりの由来~お釈迦さまのご誕生~
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花まつりの由来~お釈迦さまのご誕生~
今から二千五百年前、インドの北に釈迦国という小さな国がありました。シュッドーダナという王様が国を治めて
いました。
人々は平和に暮らしていましたが、一つだけ心配なことがありました。
お妃様のマーヤー様には、子どもがお生まれにならなかったのです。
「この国を守ってくれる王子様がほしいものだ」
王様もお妃様も、国じゅうの人々もみんな王子様の誕生をこころまちにしていました。
そんなある夜のことです。マーヤー様は不思議な夢を見ました。
牙が6本もある白い象が空から降りてきて、マーヤー様の右のわきから、体の中に、静かに、すうっと入って
きたのです。
マーヤー様から、この不思議な夢の話を聞いた王様は、きっと王子様が生まれる知らせに違いないと、たいそう
喜びました。
この嬉しいニュースは、たちまちのうちに国じゅうに広まり、みんなが元気な王子様の誕生をお祈りしました。
春になり、マーヤー様は赤ちゃんをうむため、お里へ帰ることになりました。
暖かな春の日ざしの中、優しい風に吹かれて、マーヤー様はルンビニーの池のほとりをゆっくりと散歩していました。
すると、一本の無憂樹の木が目にとまりました。その木に手をのばしたその時、マーヤー様の右のわきから、
男の子がうまれました。
王子様の誕生です。
王子様は、生まれるとすぐ、七歩あゆみ、天と地を指さして、
「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と力強く宣言しました。
その時、青い空の上から、二人の偉い神様が降りてきました。竜王も清らかな、よい香りのする雨を降らせ、
王子様の誕生を祝いました。
王様は、さっそくお城にアシタ仙人を呼んで、王子様の未来をたずねました。
しかし、アシタ仙人はだまったまま、何も答えようとしません。やがて、アシタ仙人のほほをひとすじの涙が
つたいました。
「なぜ泣くのじゃ。王子に何か不吉なことでもあるのか」
「いや、いや、そうではありません。王子様は将来、武器を使わず世界を統一する転輪聖王となるでしょう。
しかし、 私は年老いています。王子様が将来、ほとけとなる日がきても、その教えを聞くことができません。
それが残念でならないのです。」
アシタ仙人はそう言い終わると、静かに手を合わせました。
これがお釈迦さま誕生の物語です。王子様は、やがてアシタ仙人の予言どおり、ほとけとなられました。そして、
生涯をほとけの教えを広め、人々を救うために捧げられたのです。
花御堂(はなみどう)のいわれは?
花御堂は、お釈迦さまが誕生したルンビニーの花園をイメージして作られたものだと言われています。
ルンビニーは、現在のネパール南部タラーイ地方にあります。
「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」の意味は?
誕生仏は、「天上天下唯我独尊」を宣言されたお釈迦さまの誕生の姿になぞらえて作られたものです。
この言葉は直訳すれば「この世に我にまされる聖者なし」という意味になりますが、その真意は、
「世界中のものすべて(人間ばかりでなくあらゆる存在)がみな、尊い命を持っている」という教えを
あらわしたものです。
誕生仏に甘茶をそそぐのは?
甘茶をそそぐという風習は、お釈迦さまがルンビニーの花園でお生まれになった時に、その誕生を祝って、
竜王が天から清らかな雨を降らせたという経典の記述にならったものです。