お彼岸は「彼岸会(ひがんえ)」と言って、1年に2回、春と秋にご先祖様への
感謝の気持ちを込めてご供養する仏教行事です。
仏教では、貪り、怒り、妬みなどの煩悩に満ちた現実の世界を「此岸(しがん)」と言い、
それに対し、苦しみのない悟りの世界、理想の世界を「彼岸(ひがん)」と言います。
そして、その真ん中に流れているのが、人間の悩みの世界が作っている煩悩の川です。
そこで、迷いの世界「此岸」から、六つの修行の船に乗って、悟りの世界「彼岸」に渡ろうと
いうのが、彼岸の教えです。
どんな修行の船かというと、布施(ふせ・ほどこし)、持戒(じかい・いましめ)、忍辱(にんにく・しのび)、
精進(しょうじん・はげみ)、禅定(ぜんじょう・しずけさ)、智慧(ちえ・さとり)の六つの船が「六波羅蜜
(ろくはらみつ)」とされています。
日頃は忙しくてなかなかできなくても、年2回のお彼岸には、お釈迦様の説かれたこの六つの教えを
実践しようというのが、お彼岸本来の意味です。
ですから、お彼岸はご先祖様のご供養をするとともに、彼岸に渡る修行を通して自分自身を
見つめ直す良い機会でもあります。

お彼岸は年2回、春は3月の「春分の日」、秋は9月の「秋分の日」を中心に、その前後3日間を
合わせた一週間です。
初日を「彼岸の入り」、真ん中の春分・秋分の日を「中日(ちゅうにち)」、最終日を「彼岸明け」と
言います。
※春分・秋分の日=中日
太陽が真西に沈み、昼と夜の長さが同じになる仏教で良しとされる「中道」の日
※俗に、中日はご先祖様に感謝し、残る6日は悟りの世界に渡るために必要な
6つの教え「六波羅蜜」を1日に1つずつ修めるためとされています。
彼岸明けの最終日を「はしりくち」という地方もあります。

お彼岸の行事には「西方浄土(さいほうじょうど)」と言って、『西の彼方に極楽がある』という仏教の
教えが深く関わっています。
「春分、秋分の日」は昼夜の長さも同じになり、太陽が真西に沈む日です。
真西に沈む太陽に遠い極楽浄土への思いを重ねて亡き人の往生(おうじょう)を願ったことから、
この時期に彼岸会の法要が営まれるようになったそうです。
また仏教では、極端を嫌い何事もバランスよくゆっくり焦らず努力するという「中道」の考えを
大切にしています。
『暑さ寒さも彼岸まで』と言われるように、この時期は暑からず寒からず、『中道の季節』とも言えます。
そうしたこともこの時期が彼岸会となった理由のひとつですね。

お彼岸豆知識
『ぼたもち』と『おはぎ』は違う食べ物なの?なぜお彼岸に食べるの?
季節に咲く「牡丹」と「萩」の花の形に見立てて、春は「牡丹餅(ぼたもち)」、秋は「お萩(はぎ)」と
呼ばれるようになりましたが、どちらも同じものです。
小豆(あずき)の赤色は邪気をはらうとも言われ、また農耕の節目のお祭りの時に豊穣を願い
収穫を祝って神に捧げるものが、仏教行事のお彼岸と結びついたそうです。
ですから、いつしかお彼岸には「ぼたもち」と「おはぎ」が定番になったんですね。

皆さん、お彼岸にはぜひ家族そろってお墓参りをし、ご先祖様を偲び、感謝の心を捧げてください。合掌

※光見寺では春と秋のお彼岸の期間中、境内と墓地に「般若心経」の有線BGMを流しています。
「般若心経」は彼岸の世界へ到るための、誠にありがたいお経なのです。