皆さんは「般若心経」というお経を知っていますか?
そうです、写経で使われるあのお経です。
どんなお経なのか、簡単にご説明します。

「般若心経」は、正しくは「仏説摩訶般若波羅蜜多心経」といいます。
一部の宗派を除いて広く読まれている、一般の方も目にすることの多い
大変ポピュラーなお経です。
「般若心経」は数あるお経の中で最も短いお経のひとつで、字数にしてわずか266文字。
しかし、その内容はお経の中でも最も長い『大般若経』を圧縮し、その精髄、エッセンスを
伝えたものです。
「般若心経」は、人間は本来永遠に存在するものではないから、苦しみの原因である
煩悩や執着を断ちなさいと説き、空の境地に達せよと教えます。
空とはあらゆる苦しみや悩みから解放された、なにものにもとらわれない自由な心のことです。
かたよらない心、こだわらない心、広くおおらかな心です。
すべてをあるがままに受け容れ、感謝する心といってもいいかもしれません。
「般若心経」は、そのための道を繰り返し解き明かします。
私たちが唱えている「般若心経」は、玄奘三蔵の漢訳「般若心経」です。
難解であるため、唱えるだけの人もいるでしょう。
それだけでも「般若心経」は厄除けや魔除けになると言われるほど、
まことにありがたいお経なのです。
「般若心経」は、ただ唱えるだけでもよいかもしれません。しかし「般若心経」の意味を知って
唱えることも大切だと思います。
「般若心経」の心、目指すものを少しでも知って唱えれば、同じ唱えるにしても唱え方に
迫力が出てくるでしょう。
「般若心経」の心、その意味に少しでも近づくことによって、仏教というものが私たちの心と
深い関係があることを知るでしょう。
仏教は、世俗にまみれて生きている私たちに、かけがえのない人生を、毎日を、この一瞬を
どう生きるか、人間の生き方を説いているのです。
現代の日本には物があふれています。反面、都市化、少子化、核家族化、地域共同体の解体、
勝ち組・負け組みといった二極化に伴い、心の危機が深刻化しています。
人間同士の信頼や絆が失われ、ギスギス、イライラ人間が増えています。ささいなことで
キレテしまったり、心の病に陥る人もいます。
あまりに多忙過ぎて、自分を見つめる余裕がないのでしょう。
だからこそ、心を整えて「般若心経」を唱えてみませんか。そして、人間の本来の姿、
魂の故郷を取り戻そうではありませんか。                      合掌

※現在「般若心経」の解説書が数多く出版されていますので、中身をよくご覧になって
ご自分に馴染む分かりやすい書籍をお求めになることをお勧めいたします。

※光見寺では客殿で写経ができますので、希望なさる方はお気軽にお申し込みください。
また、本堂で「般若心経」の読経の練習をすることもできます。

※私は若い頃、大学時代の恩師の主催する坐禅会に参加して、禅寺で参禅していた時期が
あり、常に「般若心経」は読経していました。写経をしていた時期もあります。
光見寺は時宗なのでお念仏は称えますが、禅寺のように坐禅は組みません。しかしながら、
いろいろな仏事で「般若心経」は読経いたします。
浄土真宗以外のほとんどの宗派で、般若心経は読誦されております。